「CR-185」とトコトン付き合う 第十話:「CR-185」を更に深く知る |
大人気の「ONKYO/CR-185」について、 これから10話にわたり、その構造や故障への対処方法等について、より詳しく説明させて頂きます。そして、より深く「CR-185」を知って頂き、より快適に、そして、「CR-185」と真正面から向き合って下さい。このズングリとした容姿が、可愛らしく見えてくるのが不思議です。
第一話:「CR-185」って、何? |
第十話:「CR-185」を更に深く知る
本話で、最後になります。いかがだったでしょうか。多少の知識が身に付いたでしょうか。出来るだけ詳しく説明したつもりですが、分からない点、至らない点も多々あろうかと思いますが、別の機会にでも、追加説明させて頂ければ幸いです。
これまで、本機に関わる多くの故障要因とその対策について述べてきました。そしてお気づきになったでしょうか、故障する要因のあまりの多さとその因果関係の複雑さ。しからば、故障した箇所を正常化するだけでは、メンテナンスとも整備とも言わない。ベルトを交換し、レンズをクリーニングし、グリスを付けただけでも、メンテナンスとは言えない。それは単なる修理・修復である。故障した箇所が直っても、次なる故障要因が待ち構えている。かかる将来的な故障要因をできるだけ排除する事が、メンテナンスであると思う。つまり、故障要因と原因との関係、その対応策をより多く知っていれば、より信頼できるメンテナンスと言えるだろう。
弊方の「ベルト交換手順書」をご購入頂いた方々との会話は、より高度であり、より本質的である。つまり、症状と故障との因果関係、機能と部品の構造的関係を系統的に理解しているからです。
「CR-185」のメンテナンスで一番の問題は、仮組(基板等はバラバラだが、結線だけして操作できる状態)では、CDの読取が正常に行われない。加えて、メカと上部の基板を繋いでいるフレキというケーブルがめくれ易く、そうなると修復もかなり難しい。更に話をややこしくするのは、組み立てる時に、注意しなければならないポイントが幾つかあり、これに従わないと、修理屋の端くれと思っていたのに、デストロイ屋になってしまう事。これは、かなりショック。トレーの動きが悪かっただけなのに、組み立てたら、うんともすんとも言わなくなった、なんて事にもなりかねない。組み立てた後に、ネジが1本、脇に転がっているなんて事も珍しくない。品質的な影響は少ないと思うが、気分はド~ンヨリ。なんともはや。この機種は、弊方の数ある分解経験の中でも、「FRシリーズ」より難しく、トップ・クラス的に難易度は高いと感じる。
弊方が、スムーズにメンテナンス出来るようになったのも、10台を越えた辺りから。きかっけとなったのは、メンテナンス後に仮組状態で動作確認すると、ピックアップがカクカクと異常な動きをする。ガッカリしながら組み上げ、しばらく放置した。後日、再度メンテナンスしようと組みあがった状態で動作確認すると、いきなりCDを読み込み始めビックリした。その後も、修理を重ねる度に、本機の特性を
「CR-185」は、数あるオーディオ機器の中でも、かなり特殊な存在の機器で、一方で、これだけ知名度の高い機種も珍しい。目にする機会も多いと思うが、中古品故に程度が悪い個体も多く、外観含めて当たり外れが大きい。最悪なのが、自己修理に失敗してそのままの個体である。使っている内に、故障する場合も多い。しかしながら、これまでの説明をご欄になられた方々には、薄々感じて頂けたかも知れないが、それなりの知識があれば、ご自身でメンテナンスしたり修理したりしながら、より長く使い続ける事も可能である。
オンキョーのホームページを見ると、「INTEC275」と「INTEC205」の開発は継続している様だが、「INTEC185」は「CR-D2」を最後にして、再び姿を消したようだ。そこには、営業的判断もあるのだろうが、是非とも復活して欲しい。ネット情報によれば、「CR-D3」の話しもチラホラ。「CR-555」と言う機種もあるが、若干容姿の違いや品番の付け方も違うが、これが後継機なのだろうか。CDは、これまでの多くのメディアと比較しても、最も寿命の長いメディアであり、皆さんの手元にも多くのCDがある事だろう。従って、CDがこの世から消え去ってしまう可能性は、極めて低い事だろう。これを一番便利に活用できるのが、CDチューナー・アンプであり、「INTEC185」であると確信している。MDやカセット、その他メデイアを利用する方は、これに追加すれば良い。万が一故障しても、その部分のみ買い換えれば良い。 |
「CR-185シリーズ」のバリエーションに「3連奏CDチェンジャー・チューナー・アンプ:CHR-185」と言うのがある。型番や外観は「CR-185」とよく似ているが、中身は全くの別物。もちろん、デジタル的処理にて、似たような音質には細工してあるのだろうが。何台か修理を試み、メカ的には理解できた。関心する程に良く練られている。ところが、この機種の致命的欠陥と思えるのが、部品の強度不足である。これだけ大掛かりで複雑なメカの動きを、「CR-185」と同じ強度のベルトで駆動している。年数が経てばグリスも固まり、ベルトが伸びて当たり前だ。加えて、トレーを駆動するギアへの負荷も大きく、ギア破損している確率が高い。つまり、ギアの強度も不足しているのだ。事実、修理を試みた全台が破損していた。ベルト交換だけなら修復可能だが、ギア破損はお手上げ。従い、弊方では、決して取り扱わない機種としている。
「CR-185」とペアを組むのが、カセット・デッキ「K-185」であり、「MD-185」である。「K-185」の故障原因の95%が、ベルトの伸び。「INTEC275シリーズ」や「INTEC205シリーズ」と比べると、比較的修理し易い構造(分解の程度が少ない)になっている。壊れている個体が手持ちにあれば、修理に挑戦してみるのも一考。但し、切替用ベルトの選択は非常に微妙で、強すぎると切替ができず、弱いと駆動力が足りなくなる。非常にビミョー。バンコードで自作し、テンションを様子を見ながら調整するのがベストか。「MD-185シリーズ」のMDデッキは、同じシリーズでありながら、「MD-185II」や「MD-185X」とはメカが異なるため、ニコイチの手は使えない。ハッキリ言えば、「MD-185」は、ゴム・ローラーが経年劣化し、「MDが認識できない。しばらくするとMDが出てくる」症状の修復はかなり困難。同時期に他のメーカーにも多用された共用メカだが、すべからく同じ症状に至る。1995年から1997年の間に発売されたMDデッキには、同メカを採用している可能性が高い。MDデッキをお持ちの方は「シリーズ構成機器一覧」にて発売年を確認すべし。この辺りも、なかなか難儀なところ。
ついでの話だが、オンキョーの正式名は「オンキヨー」と、「ヨ」の字は大文字です。同社のコメントによれば、看板などに縦文字で「オンキヨー」と表示する際に、文字のバランスを整えて見た目を良くするために、小文字ではなく大文字を使ったのがきっかけになった様です。読み方は、「オンキョー」で良いそうです。
修理をやってみようかと思われる方向けに、「ベルト交換手順書」や「ピックアップ交換手順書」、本機用の「ゴムベルト」を販売中ですので、合わせてご検討を賜りたく。
それでは、長い間のお付き合い、誠にありがとうございました。どうか、お手元の「CR-185」をご愛顧の程、何卒宜しくお願い申し上げます。
当サイトの文書、画像や写真等を他のサイトにて無断で使用される事を固く禁じます。 Copyright(C) Stereo Studeo PONY All Rights Reserved Since 2014. ステレオ工房 ポニー |